ONIBUS COFFEE 代表 坂尾篤史さんと語る、SANU 2nd Homeのコーヒー体験
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ONIBUS COFFEE 代表 坂尾篤史さんと語る、SANU 2nd Homeのコーヒー体験

なぜSANUは、ONIBUS COFFEEの豆を室内に置いているのか。コーヒーはどう飲んだらおいしいのか。2011年の東北のボランティアから始まった二人の関係、コーヒーを冷凍庫で保管する理由、SANUのコーヒーにエチオピアの豆を選んだ背景、そしてSANUでのおすすめの飲み方まで。ラフに語られた約25分を、ほぼ全文でお届けします。 Speaker : ONIBUS COFFEE代表 坂尾篤史 SANU Co-CEO 本間貴裕

東北のボランティアで出会った二人が、SANUのコーヒーをつくるまで

本間: 僕らSANUは、ONIBUSが人気だからとか、売上がどうだからといった理由で一緒にやり始めたわけではないんです。しかもコーヒーの味から入ったわけでもなくて、実はすごく個人的な、あっくんとの関係から始まっています。

坂尾: そうだね。2011年、東北の石巻で、ひろが代表をやっていたボランティア団体に所属させてもらったのが、出会いのきっかけです。ボランティア作業を一生懸命やる中で、いろんな話をして、「将来、何か一緒にやろうぜ」みたいな漠然とした話になって。僕はその頃、まだオニバスコーヒーを立ち上げてはいなかったんですけど、そこから「じゃあ俺はコーヒーをやろうかな」という話が出てきたんです。

本間: 当時のあっくんは、カフェをやる前は大工さんだったんだよね。東京から道具を積んだ車で東北まで来てくれて。トラックも運転できるし、ロープも結べるし、木材もいじれる。そこからテンションが合って仲良くなって、今でも友達として、仲間として、ビジネスパートナーとしても、ONIBUSと一緒にやっているところなんですが、一番最初に〈Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE〉で、自分たちの事業として初めてコーヒーを出すという立ち上げのときから、ONIBUSさんにはお世話になっています。

当時、すごく失礼ながら、僕はあっくんに「コーヒーって、コンビニコーヒーでも、大手の豆を使っても一緒じゃない?」って言った覚えがあって。そこそこ飲めればいいと思っていたんです。

でもそのときあっくんが話してくれたのは、オーストラリアのことでした。オーストラリアの人は、毎朝必ずカフェに行って、店員さんや隣にいる人、毎朝会う人と日常会話を交わしてから仕事に行く。そこにあるコーヒーは、ボタンを押したら出てくるようなものじゃなくて、バリスタの人が小気味いいリズムで、感じのいい会話をしながらお客さんに提供してなくちゃいけない。そういうシーンまで一緒に提供したい、という話でした。

僕自身、オーストラリアのシドニーを旅していたとき、街中にある、そんなに大きくないコーヒー屋さんに、ずっと人が並んでいて、それが不思議だったんです。当時の僕はコーヒーをあまり知らなかったので、なんで高いコーヒーにわざわざこんなに人が並ぶんだろうと思って、3時間くらいずっとその列を眺めていたことがありました。そうしたら、この人たちはコーヒーを買いに来ているんじゃなくて、挨拶しに来ているんだな、と思ったんです。

もちろん、おいしいコーヒーが飲みたくて来る人もいると思います。でも、いいコーヒー屋さんのバリスタには、さっき言った小気味いいリズムとか洗練された所作があって、笑顔で「おはよう」って言ってくれる。「最近全然来てなかったじゃん、元気だったの?」「この間の仕事の話、どうだった?」みたいな会話を、コーヒーを淹れている最中にお客さんとぱっと交わす。その会話とか時間とか、仕事と家の間のちょっとした余白を買いに、これだけの人が並んでいるんだな、と思いました。そのためには確かにコーヒーに手間がかかる必要があるし、手間がかかったコーヒーはおいしいし、おいしいコーヒーはきっと値段もそれなりにすべきなんだ、と考えるようになったのがすごく印象に残っています。

なぜ冷凍庫に保管している?挽き方と淹れ方のヒント

本間: おいしい挽き方とかいろいろあると思うんだけど、その一歩手前で、「なんでSANU 2nd Homeではコーヒー豆が冷凍庫に入っているの?」って思っている人が結構いるんじゃないかと思っていて。僕もあっくんから「これは冷凍庫で保管した方がいいよ」と言われて、驚きました。改めて、なんで冷凍庫がいいのか、教えてもらえますか。

坂尾: まず、冷凍しておくと酸化しにくくて、味が保たれるんだよね。それと、冷凍のまま挽いた方が、挽いたときの粉の粒度が均一になりやすいというデータもあって。なので、解凍せずに、凍ったままガリガリ挽いてもらうのがいいかなと思います。パッケージを開けたら、凍ったままグラインダーで。

本間: ちなみに、挽くときの豆の粒度も、何が正解なのかがいつも難しくて。なんとなく前の人の設定のままやっちゃうんですけど、そうすると濃すぎてお湯が落ちなかったり、薄すぎてすぐ落ちちゃったり。僕はいつも勝手に調整しているんですけど、あれ難しいよね。

坂尾: コーヒー業界だと、一番締めた状態から何目盛り、という話をするんですけど、SANUみたいにいろんな人が使う場所では、なかなか難しいと思うので、濃く落ちたら、お湯で薄めてもらうのがいいかなと思います。

本間: ちょっとアメリカーノっぽいですね。じゃあ、不安だったら細かめに設定して淹れるのがいいんだ。

坂尾: そうですね。細かめに設定して淹れるのがいいと思います。

本間: お湯の温度とか、淹れるポイントってありますか。

坂尾: コーヒーって、厳密に言うと科学みたいな感じなんです。コーヒー豆の中にコーヒーのエキスが入っていて、そのうちの30%がお湯で溶ける成分と言われていて、その30%のうちの20%がおいしい部分と言われているので、化学っぽいんですよね。ということは、お湯とコーヒー豆の比率がすごく大切。なので、まず最初の条件として、粉もお湯も時間もちゃんと測る、というのをやると、おいしく淹れられます。

お湯に勢いをかけると抽出が進むし、優しくかけると抽出がゆっくりになるので、自分がどういう味を出したいかで淹れ方を考える、というのもあります。

本間: なるほど。僕が一番最初に教えてもらったのは、三角形のフィルターにコーヒーを入れて、お湯を注いだらすぐに小さいスプーンで混ぜる、というやり方で。そうすると、パイみたいにコーヒーがぷくっと膨らんでくる。そこから均等にお湯をかけるというのをやっています。

坂尾: 完璧です。でも、本当においしいコーヒーってシチュエーションだと思うので、あまり難しく考えなくてもいいんです。仕事で一人で来て「仕事に飽きたからコーヒー頑張ろうかな」と思うなら、わざわざいろいろ試してコーヒー自体の味と向き合うのも、面白いと思います。でも、リラックスしに行っているときは、適当に淹れて、会話しながら適当に飲んだって十分においしく楽しめると思いますよ。

SANUのコーヒーに、エチオピアを選んだ理由

坂尾: 味という意味では、さっき言ったように淹れる人によっても違いますし、そのシチュエーションで楽しんでもらえればいいなと思っています。

ただ、SANUに入れるコーヒーを相談されたとき、一番最初に思ったのは、「ソース」、つまり元のコーヒーの調達の部分に、いかに丁寧に向き合っているかでした。それこそがコーヒー屋さんの問われる仕事だな、と思ったんです。

SANUって建物をつくるときも循環を考えていたりするし、そもそもSANUというもの自体が、ただのビジネスじゃなくて、一緒に生活をつくっていくとか、暮らしをつくっていくとか、人間の根本的な喜びをみんなで分かち合う、ということをやっているビジネスだと思った。ということは、自分たちもコーヒーの調達の一番元から考えて、それを送り出すことが大切なんじゃないかなと思ったんです。その部分を、ONIBUS COFFEEはちゃんとやっているという自負もあります。

本間: SANUは、僕らがいることで世界が良くなる、というのを目指しているんです。コーヒーを飲むという行為で、コーヒーをつくっている人がハッピーになってほしいし、飲んでいる人もハッピーになってほしい。もっと言えば、コーヒーを育てている土壌や、その近くの海や川が豊かになってくれた方がいいじゃないですか。飲んで誰かが疲弊するとか、飲んで何かが壊されるよりも。そういう意味で、オニバスコーヒーはすごく信頼感がある。

やっぱりONIBUSの人たちって、スタッフさんもそうだし、あっくんもそうだし、現地に足を運んで、その人たちと話をしながら、丁寧に丁寧にコーヒーを選んでいると思うんです。飲み方はラフで、でもベースのストーリーが根っこのところにしっかりある、という安心感があって。それが消費というもののあり方としてひとつの正解な気がしますし、コーヒーはそういう意味で見えやすいですよね。

今入れさせてもらっているエチオピアの豆の背景についても、もう少し教えてもらってもいい?

坂尾: エチオピアは、コーヒーの原産国と言われている国なんですけど、まず、アフリカの中でも土壌がすごく古い。その中でもイルガチェフ地域は数万年前の火山活動の影響で肥沃な土壌が広がっていてそのため、コーヒーの味の複雑性も出るし、僕らが取引している農家さんは自然栽培に近いつくり方をしていて、土壌本来の味わいを作り出している。しかも、パッと見たときに品種も特定されていなくて、いろんな品種がある。「エチオピア原種」と言われるもので、DNAが微妙に違う個体がいっぱいある、というのも、すごく面白いなと思っています。

そして、やっぱり「土」がいいんだよね。僕自身、初めてSANU 2nd Homeに行ったときに感じたのが、気のいい場所に立っているな、ということでした。

本間: それはうれしい。

坂尾: 山とか物件を見に行くと、「ここ気がいいな」って感じるところ、あるじゃないですか。

本間: ありますね。

坂尾: それをエチオピアの農園でも感じたんです。たぶんそれって、水がきれいだったり、微生物の多様性があったり、土がふかふかだったり、そういうものに近いんだと思います。それに近いものを感じたのがエチオピアの農園だったので、「これは絶対にSANUに合う」と思って、一番最初に提案しました。

朝のベランダで、はたまたマグを持って散歩しながら

本間: さっき「ラフに飲んでくれたらいい」と言っていましたけど、その中でも、あっくんのおすすめの飲み方とかシチュエーションってある?ご自身もSANUに泊まる中で、「こういうタイミングでこんなふうに飲んでほしい」というのがあれば。

坂尾: SANUでコーヒーを飲んでいて一番好きなのは、朝、静かな時間で、まだ空気が澄んでいるときに、ベランダで飲むことかな。

本間: 定番だよね。王道だけど、最高においしいよね。

坂尾: 鳥の声を聞きながら、朝の湿った空気とか霧の感じを感じて、コーヒーを飲んで、ただじっとしているという。

本間: 僕はそもそも、豆をわざわざ挽く、というのが好き。というのは、さっきシドニーのコーヒー屋さんの話の中で、あっくんが話してくれたバリスタの役割にもつながるんですけど。手間をかけるとおいしくなるから貴重、という順序もあるけど、手間自体が大事、とも言えるんじゃないかと思っていて。料理がおいしいかどうかも大事だけど、おいしくしようと誰かが頑張ってくれたこと自体がうれしいじゃないですか。誰かが自分のためにコーヒーをちゃんと挽いてくれているのが、音でわかるし、時間でわかる。そういう意味で、挽くというのはすごくいいと思っています。

それから、僕は挽いたあとの温かいコーヒーをマグに入れて、外に持っていって、歩きながら飲むのが好き。いいコーヒーを持って歩いていると、歩くスピードが上がらないじゃないですか。特に水筒じゃなくてマグの場合は、こぼさないようにするし、ときどき飲むし、そうすると歩くスピードも自然と下がって、周りの風景を見るようになる。そんなに長く歩かなくても、敷地の中のちょっとした距離でいいんですけど、一人でも誰かとでも、温かいコーヒーを持って、手の温かみを感じながら、景色とか植物とか虫とかを見て、コーヒーをすすりながら15分散歩する、というのが好きですね。

坂尾: いいね。あと僕は、帰り際に自分で持ってきたマグに入れて、帰路の車の中で飲むのも好きかな。SANUで過ごす時間が、帰りの時間にも拡張しているような感じです。

本間: ONIBUSのコーヒーって、もちろん品種とかブレンドにもよるんでしょうけど、僕は「清廉さ」みたいなものを感じるんだよね。それは味だけじゃなくて、あっくんのストーリーを知っているからかもしれないですけど。その感覚が、さっきあっくんが言っていた「気がいい」という感じによく似ていて、それを持って帰れるのもいいですよね。

坂尾: ありがとうございます。

本間: 最後に、これからONIBUSのコーヒーを初めて飲む人に、ひと言ありますか。

坂尾: あまり難しく考えずに、まずはラフに飲んでほしいですね。それでも十分に美味しさは感じてもらえると思うので。

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